意識消失/意識障害
最終更新日 2019年11月10日
監修:医療法人青漣会 勝川脳神経クリニック
理事長 青山 国広
意識障害とは
意識がある状態または意識清明な状態とは、覚醒しており、かつ周囲を認識できる状態のことです。また、外からの刺激に対して反応できることも必要です。意識障害とはこれらが何らかの原因により障害された状態のことをいいます。 日本における意識障害の評価基準として、Japan Coma Scale(JCS)、海外の基準として、Glasgow Coma Scale(GCS)が有名です。
たとえばJCSであれば、0-300までの数値で表します。
- 0は意識清明な状態です。通常元気に暮らしている人はJCS:0です。
- 1-3は、刺激がなくても覚醒している状態です。酔っぱらっているけれど酔いつぶれていない人などはこの段階です。
- 10-30は、刺激すると覚醒するが、刺激をしないと眠っている状態です。はっきりと呼びかければ一瞬起きるものの、すぐ寝てしまうような状態を指します。
- 100-300は、刺激しても覚醒しない状態を指します。この状態だと刺激をしても起きません。命に危険が及ぶ状態である可能性があります。
意識障害の原因を考える際には、救急診療の分野においてはAIUEOTIPS(あいうえおチップス)という有名な語呂合わせがあります。
- Alcohol アルコール関連
- Insulin 血糖関連
- Uremia 尿毒症
- Encephalopathy、Endocrinopathy、Electrolytes 代謝関連
- Opiate、Over dose、O2・CO2 薬物関連、低酸素、CO中毒、CO2貯留
- Trauma、Tumor 外傷による脳の損傷、脳腫瘍
- Infection 感染症
- Psychiatric、Porphyria 精神疾患、ポルフィリア
- Syncope、Seizure、Stroke、SAH 失神、てんかん、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血
上記のように意識障害の原因はさまざまなものがありますが、比較的命に関わるものも多く、注意が必要です。 意識障害の中で、まさに「突然」倒れるものとしては、失神、てんかん、脳血管障害、CO中毒などがあります。また、意識障害は急に倒れるものばかりではなく、「何となく酔っぱらったような感じで話のつじつまがあわなくなった」といった場合に、よく調べてみたら脳卒中を起こしていた、ということもあります。 意識障害に対する治療としては、原因疾患の治療が何より大切です。行う検査としては、まず血糖値・採血検査・頭部検査を行う事が一般的です。また、原因疾患の推定に重要なのは、いつどこでどのように倒れたか、どの程度の意識障害か、目撃者はいるか、といった情報ですので、本人もしくは付き添いの方は診察を待っている間にそういうことをまとめておくとよいでしょう。