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海綿状血管腫(Cavernous Hemangioma)~症状・診断・治療を専門医が詳しく解説~

※本記事は勝川脳神経クリニック 院長 青山 国広 医師(日本脳神経外科専門医/日本脳卒中専門医)が監修しています。
監修日:2025年3月22日
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海綿状血管腫とは?

海綿状血管腫(Cavernous Hemangioma)は、異常に拡張した血管が塊を形成する良性の血管異常です。
特にMRI検査(T2*強調画像・SWI)で偶然発見されることが多く、無症状なら治療は不要ですが、脳出血やてんかん発作を引き起こす場合には適切な治療が必要です。

海綿状血管腫の症状と影響

ほとんどの海綿状血管腫は無症状ですが、以下のような合併症を引き起こすリスクがあります。

🔹 無症状

  • 多くの場合、MRI検査で偶然発見され、特に症状がなければ治療の必要はありません。

🔹 脳出血

  • 再発性脳出血のリスクがあります。特に脳幹・視神経周囲に発生すると、重篤な神経障害を引き起こす可能性があります。

🔹 てんかん発作

  • 大脳半球に存在する場合、てんかん発作を引き起こすことがあります。抗てんかん薬での管理が必要となることがあります。

🔹 視覚障害

  • 視神経・視交叉周辺に発生すると、視力低下・視野欠損・二重視などの視覚障害を引き起こすことがあります。

🔹 頭痛・麻痺

  • 脳の圧迫を引き起こす場合、片側麻痺や頭痛が現れることもあります。

海綿状血管腫の検査と診断

🔹 MRI検査

  • T2*強調画像や磁化率強調画像(SWI)が特に有用で、小さな病変も検出可能です。
  • 出血があった場合はT1強調画像やFLAIR画像でも確認できます。

🔹 CTA・血管撮影(DSA)

  • 手術が検討される場合、造影CTや血管撮影で周囲の血流評価を行います。

🔹 臨床評価

  • てんかん発作や神経症状の有無を確認し、手術適応を慎重に判断します。

海綿状血管腫の治療法

治療方針は病変の大きさ・部位・症状の有無によって異なります。

🔹 経過観察(無症状の場合)

  • 無症状であれば、定期的なMRI検査で経過を観察します。

🔹 手術(開頭手術)

  • 脳出血のリスクが高い・てんかん発作がコントロール不能な場合は手術が推奨されます。
  • 神経機能を温存しながら病変を完全切除することが目標です。

🔹 抗てんかん薬治療

  • てんかん発作がある場合、抗てんかん薬で発作を抑えるのが一般的です。

🔹 放射線治療

  • 定位放射線治療(ガンマナイフ)を検討することもありますが、効果は限定的とされています。

海綿状血管腫の種類

種類 特徴
脳海綿状血管腫 脳内に発生し、てんかん・脳出血の原因となる
脊髄海綿状血管腫 脊髄に発生し、麻痺・疼痛を引き起こす
皮膚・軟部組織海綿状血管腫 皮膚や筋肉に発生し、美容的な問題となることがある

海綿状血管腫の原因

🔹 遺伝的要因

  • 一部の海綿状血管腫は遺伝性(家族性)であり、遺伝子変異(CCM1, CCM2, CCM3)が関与しています。

🔹 環境要因

  • 現時点では、明確な環境要因との関連は証明されていません。

海綿状血管腫の予後

状況 予後
無症状 予後良好(定期的なMRI経過観察)
症状あり(出血・てんかん) 治療により改善可能(手術や薬物療法)

【まとめ】海綿状血管腫とは?

  • 良性の血管異常で、MRIで偶然発見されることが多い
  • 無症状なら治療不要だが、脳出血・てんかんを引き起こす場合は治療が必要
  • MRI・CTA・DSAなどの検査で診断し、病変の大きさ・位置に応じた治療を選択
  • 専門医の診察・経過観察が重要

この記事の監修者:

青山 国広(Aoyama Kunihiro)
日本脳神経外科専門医・評議員/日本脳卒中専門医/日本頭痛学会指導医

経歴:
愛知医科大学卒業。中村記念病院脳神経外科をはじめ、函館赤十字病院、一宮西病院(脳神経外科副部長・脳卒中診療科科長)などで勤務。脳卒中・脳血流評価を専門とし、講演・研究・執筆活動も多数。

所属学会:
日本脳神経外科学会/日本脳神経外科コングレス/日本脳卒中学会/日本脊髄外科学会ほか

主な活動・実績:
・脳卒中や脳血流評価に関する講演・学会発表を多数実施
・市民公開講座・医師会・薬剤師会での講演など地域啓発にも積極的に取り組む
・医学誌「脳神経外科速報」や各種医療専門誌における執筆経験あり
・スパズムシンポジウムにて優秀論文賞を受賞(第4回)
・Eur Radiol 掲載論文:“Detection of symptomatic vasospasm…” 等、国際論文掲載実績あり

監修日:2025年3月22日

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